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「独自メソッドの秘密」

違和感と向き合って生まれた全く新しいアプローチ

話し手・黒木洋平(以下、黒木)
(取材・文 Akari)

Webでの発信
こだわった理由

(Akari)URAHAKUのピアノレッスンは、Web講座として販売されていますね。対面形式が一般的な音楽のレッスンにおいて、あえてWeb講座にこだわっているのはなぜでしょうか。

(黒木)レッスンでどこかへ通うと、場所や時間に制約が生まれます。伝えたいと思っている弾き方や考え方を全国に広めたいと思ったら、動画にして配信する方法が最適でした。講座には、テクニックの基本や曲の解説、音楽の考え方などをたっぷり詰め込んでいます。

(Akari)いつでもどこでも見られる点は大きなメリットですね。誰でも簡単に動画が見られると思うのですが、受講生として想定されている年齢層などはありますか。

(黒木)受講生の年齢層は、特に限定していません。はじめてピアノに触れる方はもちろん、大人になってピアノを再開した方にもおすすめです。ピアノを再開した方にとっては、本講座が新しい弾き方や可能性に触れるきっかけになると思っています。

以前は私自身も、自分が学んでいる先生の教えだけが“正解”でした。しかし今は、動画などで気軽に情報を得られる時代です。ピアノの弾き方や音楽の考え方にもさまざまな可能性があることを、動画を通して伝えていきたいと思っています。

音楽もスポーツも語学も、
共通するのはリズム感

(黒木)Web講座のほかにも、コンサート活動やスポーツ・脳トレ・語学関連の事業も行っています。

(Akari)スポーツや語学まで! 一見関係のない分野のように思えますが、なにか共通点があるのでしょうか。

(黒木)じつは、スポーツも語学もリズム感が重要なんです。ピアノの研究を進めていくなかで、スポーツで身体を動かすときも言葉を発音するときも、日本人と海外の方とでは根本のリズム感が異なることに気づきました。身体の内部のことや、声楽の発声方法などを研究していくと、表面的な動きではなく、リズム感を整えることこそ重要だったんですね。

一流のスポーツ選手や語学が堪能な方の多くは、クラシック音楽で使われている伝統的な発声方法をしていることも発見しました。リズム感を大切にする視点で、さらに事業を広げていきたいですね。

最初に味わったピアノ演奏の違和感

(Akari)ピアノレッスンは独自メソッドで行われているとのことですが、どのように生まれたのか教えてください。

(黒木)はい。そもそもこのメソッドは、私自身の経験から生まれました。自分が習っている先生のレッスンしか知らなかった頃、偉大なピアニストと自分には決定的に異なる部分があるのではないかと感じていました。

とはいえ具体的な違いは分からず、違和感を抱えたまま指のトレーニングを積み、本を読み漁り、筋肉の仕組みについても猛勉強。どんなに努力しても、目標には一向に近づけませんでした。

(Akari)もどかしい時期だったのですね。

(黒木)そうなんです。しかしそんな中でも、才能や運動神経だけの問題ではないという思いは直感的に抱いていましたね。

その後、本場で学びを深めれば何か変わるかもしれないという期待を抱いてドイツへ行きました。じつは、ドイツの恩師であるアンドレアス・インマー氏(以下、インマー氏)からの言葉が、独自メソッドを生むカギとなるメッセージとなるのです。

――“君にはとても才能があるが、とても日本的だね”

インマー氏からは、当時の私の演奏はジャパニーズリズムであり、ジャパニーズテクニックであり、ジャパニーズフレージングだったと言われました。インマー氏自身、理由こそ分からないものの、感覚として「日本人がよく行う演奏だ」と感じたそうです。

私が抱えていた違和感の正体へ近づくきっかけとはなりましたが、決定的な部分は、ドイツに行っても誰も教えてくれませんでした。

「ドレミ」という言葉から、
身体の状態や使い方に着目

(黒木)ドイツに行っても、本場の演奏と自分の演奏が「違う」という気づきしか得られませんでした。ただ、日本で私自身が独自研究していたテクニックをドイツで否定されることはありませんでした。日本の先生からは注意されていたものだったので、興味深かったですね。

(Akari)日本とドイツでは、良しとされるものが異なっていたんですね。その後、どのように研究が続くのでしょうか。

(黒木)普段のレッスンは、先生が私の横で階名を発音しながら進行していきます。ある日、実験的なことを思い付いたんです。

日本とおなじ階名の“ドレミ”でも、先生の口から出てくるのは“do-re-mi”なんですよね。ドの音を弾く際、“ド”ではなく“do”だと思って弾いてみたんです。先生の発音通りにまず弾いてみようって。

発語のイメージやイントネーションをそのまま鍵盤で表現してみると、不思議なことに身体の動きが今までと違う自分に気づきました。この経験から、リズム感こそ身体の動きに大きく影響すると確信しました。

そこからは、身体の動かし方に関するヒントを求め、あらゆる言語の言葉や発声方法を徹底的に研究。約1年間、鏡をずっと見ながら言葉と身体の動かし方の関連性を追求しました。

(Akari)ストイックに研究を進めていかれたのですね。

(黒木)そうですね、本当に集中して取り組んでいました。

日本と海外では、そもそも周りの人が話している言語、つまり聞いている音も違いますよね。そこにも注目してみたんです。聞いている音が違うなら、音の聞き方も違うんじゃないかって。

ピアノは楽器の構造上、おなじ鍵盤であれば誰が弾いても同じ音高の音が発生します。しかし、弾く人のタッチが変われば音色が変わり、聞いている人の身体の状態によっても聞こえ方が変わることを発見しました。

(Akari)聞く人の身体の状態にも依るとは具体的にどういうことでしょうか。

(黒木)ピアノで音を発した後、その音を聞きながら肩を回したり姿勢を変えたりして身体を動かしてみました。身体の変化に伴って、聞こえ方が変わったんです。

(Akari)ピアノは発生した後の音を変えられない楽器だからこそ、とても不思議ですね。

(黒木)いろいろと調べてみると、日本人がLとRを聞き取れないと言われているのも、聞いている周波数による問題だそうです。赤ちゃんの頃はもともと聞き取れていたLとRも、日本では聞き分ける必要がほとんどありません。成長に伴い、いずれ不要な力として手放すようですね。だから、まずは聞き取れる音を広げていくことが演奏の可能性も広げると感じました。

その後も研究を続け、リズム感をベースとしたメソッドを徐々に体系化していきました。日本人がクラシック音楽を演奏するために必要なリズム感のヒントは、バレエやオペラ、古武術にもあったんですよ。

(Akari)本当に研究熱心だったのですね。この研究があったからこそ、独自メソッドが生まれたんですね。

(黒木)負けず嫌いでしたので(笑)

ヨーロッパでの約4年間の研究を経て、このメソッドは誕生しました。

“指を意識しない”独自メソッドとは

(Akari)独自メソッドに基づいた実際のレッスンは、どのように進行されるのでしょうか。

(黒木)私のレッスンでは、指に意識を持たせません。人を木にたとえると、指は葉の部分。木は、まず幹や枝がしっかりしてはじめて葉をつけますよね。演奏にあたって根本となる部分にアプローチするために、レッスンの最初には音の聞き方を整えます。高周波を聞き取れる身体に近づくことが目標ですね。

クラシック音楽は、高周波のなかに詰まっています。低周波に慣れている日本人が高周波を聞くためには、意識的になる必要があるんです。

身体の姿勢を整え、呼吸、バランス、リズム感を整えていくと、最後に指が変わっていることに気がつくでしょう。回り道のように見えて、クラシック音楽の本質的な演奏に近づくためには、これが最短ルートでした。

自分の奏法に違和感を持つ方にこそ体験してほしい

(Akari)黒木さんのレッスンには、対象年齢や対象レベルを設定していないとのことでした。ターゲットを絞っていないとはいえ、どのような方におすすめなのでしょうか。

(黒木)自分の演奏に満足していない方には、ぜひ体験してもらいたいですね。弾き方に違和感があるのは、求めている音に演奏技術が追いついていないだけである場合がほとんど。練習量ではなく、アプローチ方法を変えてみることをおすすめします。

もちろん、はじめてピアノに触れる方にも伝えていきたい内容ばかりです。クラシック音楽のネイティブな演奏に、ぜひ触れていただきたいですね。

(Akari)黒木さんのレッスンを通じて、多くの方に本格的なクラシック音楽が届くといいですね。

今後の夢などはありますか。ぜひお聞かせください。

(黒木)リズム感に注目したことで、私自身の演奏人生は明るく変わりました。私の夢は、音楽を通じて日本全体を明るくしていくことですね。

音楽の世界は広大です。まだまだ知らない音の世界が広がっていることや、ひとつの音の中にも無限の可能性がある喜びを、1人でも多くの方と共有したいですね。音のパレットは、もっともっと増やせるんだよって。

(Akari)大変貴重なお話を、ありがとうございました。

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